原題:ALADDIN
ガイ・リッチー監督
2019年、米
監督、ガイ・リッチーなの???!!
あの人、いろんなの作るんだなあ。
『キング・アーサー』(2017年)で
コケてたけど、華麗に復活だね。
でもガイ・リッチーだと思って観ると
それにしちゃ意外と普通だったね(笑)!
【ココはとっても良かった!】
■ウィル・スミスがハマってた
ランプの精・ジーニー役の
ウィル・スミスがすばらしかった。
何より、本人が楽しんでいたように見えたのが良かった。
ところで、もしかしたらジーニーも、
かつては人間だったのかもな、と思った。
国務大臣のように、驕った願いを叶えようとして、
ランプに封じられてしまったのではないか。
■ジーニーの願い
「自由になりたい」→「人間になる」
という、願いの実現のしかたが興味深かった。
人はいつか死ぬし、魔法も使えないのに。
狭いランプの中で精霊として永劫生きるよりも、
広い世界で人として限りある命を・・・
ということか。
■キャラクターの配置や相関関係が巧み
アラジン:人(精霊)の相棒ジーニー、動物の相棒(サル)
ジャスミン:人の相棒ダリア、動物の相棒(トラ)
国務大臣:動物の相棒(オウム)、人の相棒はなし
ちゃんと揃ってるように見えて、「人望」が足りない。
国務大臣が、敗れるという寸法。
■色の演出が華やか
普通、非常に難しそうなカラーコーディネートが
(ピンクと黄色、紫とゴールド、といったような)
アラブのお姫さまのドレスってことになると、
本当に豪華で美しく見えた。
■ゴージャスなミュージカルシーン
アラジンとジーニーの出会いと、
アラジンが某国の王子に化けて
ジャスミンに会いにいく場面。
ミュージカルシーンだけでももう1回観たいね!
■ジャスミンのソロ
ひとりでも戦うわ!と決意を表明する歌、
ドラマチックで大人っぽい歌詞が良かった。
誰が書いたのかあとで調べたら
『ラ・ラ・ランド』
『グレイテスト・ショーマン』の
コンビだとわかった。納得だ。
■「わたしが(あなたを)捕まえた」
ディズニー映画を何もかも全部観てきたわけじゃないが
昨今のディズニーは、ガールズパワーというのか
女の子の独立心、的なものを打ち出してきている感じがして、
とても良いんじゃないかなと思う。
■現代人の心を映すキャラクターたち
メインキャラクターたちを見ていると、
どの人物からも、
現代に生きるわれわれの心の
どこかに必ずあるもの・・・
弱さ、強さ、認められたい気持ち
「本当の居場所は他にある」みたいな気持ち
肥大化した自己愛、孤独・・・
そんなものが、透けて見えた。
特にアラジンには共感した。
自信のなさや、骨の髄までしみついた
貧乏性みたいなものが、
意欲をしぼませてしまう感じ、すごく良く理解できた。
ある意味とっても人間らしい人間だと思う。
【ここはちょっとなあ】
話をわかりやすくするためであったり、
身分ちがいのふたりが出会ったことの、
論理的な整合性をとるためであったり、
さまざまな事情あってのことと、理解できなくもないのだが、
つじつまをゆるめすぎて「ストーリー破綻寸前」の感。
心が汚れた大人のわたしは、そういうの気になっちゃう。
■陰謀の顛末の描写がザツすぎた
友好国への侵攻の命令はどうなったのかね。
■仮にも一国の王女がベリーダンス
そもそもベリーダンスはもっと成熟した大人の女性が
踊るもの、という話を聞いたことがあるんだけど
ジャスミンは未婚であるし、あの調子では
アラジンと出会うまでは恋をしたこともなさそうだったし
ちょっと若すぎるなと思った。
高貴な身分の女性に、踊られたダンスかどうかも疑問だ。
■ダリアは魅力的なキャラで、大好きだけれども、
王女さまに馴れ馴れしすぎないかな(笑)
あと、ジャスミンには、王女にしては侍女が少なすぎる(笑)
■おとっつあんがしっかりしてないからいけないんですよ!
「王の子が女の子しかいない場合、婿を取るしかない」というのなら
めぼしい大臣の息子とかを許嫁にし、幼い頃から娘と仲良くさせておく。
並行して、いずれ国政を任せられるようにその男の子を教育しておく。
これで良かった。そうすれば、政治は滞らない。
王女も、結婚をそんなにイヤがらなかっただろう。
それをどこの馬の骨的な、よその王子から急に婿探しなんて、論外だ。
『アラジン』は、おとっつあんの失策が引き起こした、内紛の物語だ。
法的な制約を把握していたはずなのに、さっさと後継者を決めなかった。
それが内政を混乱させる原因になったと言われてもしかたがない。
名君みたいに言われていたが、
ろくなもんじゃないぞ、あのおとっつあんは(笑)!!
「こんな王だから頼りにならないので、俺が代わりにやってやるんだ」
・・・ってかんじで、国務大臣がもっと組織的に、かつ計画的に
クーデターを起こした感じを、濃くした方が、話がおもしろかった。
あれだけのことをやったにしては、大臣の動機の部分が甘い。
なんていうのかな・・・ゆがんだ良くない考え方であろうとも
彼には彼の事情があったのだ、というか・・・
彼なりに本気で国を憂えてした、という感じがあっても良かった。
周到に準備をし、自分の力でやることやって、
最後の仕上げにランプの力を・・・っていうのならわかるんだけど、
その感じもあまりなかった。
ランプ探してるわりには、魔法の杖なんか持っていて、
王の心を操ったりしていたのも、何かおかしいね。
杖は、ない方が良かったのでは。
敵にもマジカルツールを持たせておかないと
パワーバランス的にフェアじゃない、っていう配慮なのかな(笑)
■国盗りが簡単すぎる
あの程度で「王位を簒奪した」ってことになる、ってのが解せない。
軍はいったい何をやってるんだ(笑)
■王子なわけないじゃないですか
ジャスミンが、本気でアラジンを王子だと思ってたのは、納得いかない。
王子じゃないとわかっているけど、会いに来てくれたことがうれしいの、
って感じでいて欲しかった。恋する乙女は、盲目なのかな・・・。
■結局ジャスミンが、侍女も連れずに街をほっつき歩いてた理由は。
■序盤のアレ、伏線かと思った
アラジンとジャスミンが、同じ歌を知っていたという
エピソードが、なぜ必要だったのか。
中途半端に意味ありげなやつを物語の序盤に配置されると、
生き別れの兄妹とか、アラジンの母がジャスミンの母の侍女とか、
そんな流れをムダに想像してしまう(笑)