une-cabane

ユヌキャバンヌの「昨夜も映画を観てました」

Netflixドラマ『FOLLOWERS』-第7話

 

 

英題:FOLLOWERS
蜷川実花監督
全9話
2020年2月27日全話一挙配信(完結)

f:id:york8188:20200815144206j:plain 

www.youtube.com

まだこのあともう2回分も観るのか・・・
苦。



【第7話 あらすじ】

入院前日、仲間たちに病気のことを告白するエリコ。
夢をあきらめて実家に帰る決意をしていたなつめは
あるアドバイスに勇気を得て、新たな一歩を踏み出す。
リミは、いよいよ出産の時を迎える。




【第7話 疑問・謎】

自分がこのドラマを好まない理由、
何がしたいんだこのドラマは、と思わされるポイントは、
ものすごく多方面にいっっっぱいある気がしていた。
でも、第7話にきて、
「意外とひとつに集約されるのかも」
という思いが強まった。
わたしの言葉でまとめるとそれは、
「リミたちが、素敵な大人に見えない。
 自分もリミを見習いたい、とは思えない。
 だが果たしてこの作品の作り手的には
 それで良かったのか」
みたいなことだ。

このドラマのメインキャラを大別すると
リミたちはちょっとだけお姉さんサイド、
なつめたちはリミの背中を追う若者サイド、
ということになるだろう。

で、そのお姉さんサイドは、
しょっちゅう集まって宅飲みとかして、
子熊の兄弟みたいにいちゃいちゃゴロゴロしてるわりに、
お互いの心に触れることからは徹底的に逃げている。
それ、どうなの、って感じするね。

エリコが病気のことを明かすシーン。
彼女が病気だと初めて知らされたというのに、
リミもあかねもゆる子も、自分の気持ちを言わない。
「病気で悩んでたのにずっと隠していたのね。
 つらかったよね」
「詳しく話を聞かせてくれる?」
言わないんだよな~。
精一杯気取ってカッコつけてるエリコが痛々しいよ。
ゆる子ちゃんなんて、言うに事欠いて
「手術すれば大丈夫なのよね・・・?」。
大丈夫かどうかなんてわかるかよ(笑)!!!
て言うか一番それ知りたいのはエリコ本人だわ。

「自分で決めたら何が何でも進む人」
それがエリコだ、とはリミの言だが、
「だからエリコが決めたことに対して
 私たちは何も言えません」
なんてことは、ないよな。
何か言いたければ、言えば良い。
エリコの告白を聞いた。
病気だなんて、初耳だった。
それぞれ何か、思う所があって当たり前だ。
「なぜ今日まで黙っていたの。水くさいよ」
「スエオと急に別れたのも病気が理由なの?」
「力になりたい。どんなことをして欲しいか教えて」
エリコがそれにどう反応するかはわからない。
真っ赤になって怒り出すかもしれない。
でもエリコが怒るからとかなんとか以前に、
思っていることがあれば、言って良いはずだ。
なぜ誰も何も言わないのだろう。
全員が全員の出方をうかがい、
エリコのリアクションを警戒し、口を噤む。
「エリコのために」には見えなかった。
「自分がヤケドしたくないから深入りしない」だ。

だが、そんなのって友だちと言えるかね?
あれが成熟した大人の人間関係のあり方か?
思っていることがあっても言わないのが大人?

あと、蒸し返すようだが、
「決めたら何が何でも進む」って言うけど、
エリコは別に、病気になろうと自分で決めて
進んでなったわけじゃないだろ。
エリコが乳房を切除することを指して
「決めた」、とおそらく言っているんだろうが、
エリコのおっぱいも大事だが、それよりもまず
生命の方を心配したらどうか。
なぜ、友だちの生命が危ぶまれている
目下の現実をスルーしてまずおっぱいなんだ(笑)
おっぱいは女の命とかそういう深げなことを
考えるキャラじゃないよねこの人たちは。
現実から目をそらしているだけだ、要するに。

今時の若いもんは他者と本音で向き合わない、
濃密な人間関係を避ける、といった声が
何かというとオトナサイドから聞かれる昨今だが、
このドラマの中に限って言えば
他者と向き合わず、逃げてばかりなのは
むしろそのオトナサイド、リミたちだと思うね。

リミたちはみんなそれぞれの分野で成功を収めている。
経済的に完全に自立、おしゃれで自由な暮らしを満喫。
「カッコイイ女」とはこういうことさ! って感じだ。 
だが心が、華やかな見た目にまったくそぐわない。
内面が幼稚で荒廃している。
女子中学生みたいな幼さだ。
「小金」「スキル」「行動力」を備えてるだけに、
ある意味たちが悪い。

なんかな~。全然こう・・・お姉さんサイドがさ~
本質的に「素敵」じゃないんだよな~
で、果たして作り手側は、
リミたちのカッコ悪さを、どう考えているのだろう。
意識的にリミたちをショボく描写しているのか?
そのつもりで最初から物語を作ってきたのか?

だとすれば、やっぱりわたしとしては、
もうこれは最初の最初の方から言ってきたことだが、
なつめとリミが直接語らう展開が早く訪れて欲しい。
「リミさんって、パッと見、いかにもイケてる
 ハンサムウーマンだけど、中身が中二ですね」
「私、リミさんみたいにだけは絶対ならない!」
なつめにダイナミックにダメ出しされるリミを
早く観たい。
でなきゃ物語をなつめたち若い世代と並行して
描いてきた意味が良くわからないし、
このドラマ自体、成立しないことになると思う。

でもその見通しもさ~、
すでに怪しいんだよな~。
だって、役者の夢をあきらめて
実家に帰ろうとしていたなつめが翻意する、
最終的なきっかけってのがさ~、
よりにもよってリミからのメッセージなんだよ。
「汝の道を進め、そして人々をして語るにまかせよ」
えーーーー・・・・。
いやあ・・・ご立派ですこと・・・
リミ、結局、キャラ的に
イケてるのイケてないのどっちなの(笑)

 


【第7話 好感】

リミたちお姉さんサイドと対照的に、
若者サイドは、あれで結構ちゃんと
「濃密な人間関係」をやっているんだよな。
サニーちゃんがなつめに告白するシーンとか
案外なほど、良かった。
なつめが、「ごめんね」と言って涙した時、
ああ、これで良い、と何かわたしも納得したな。
二人の心が通っていることが明確に伝わったし、
アーティストであるサニーちゃんにとって、
なつめへの愛がどういうものなのかも理解できた。
このドラマの病巣の95%は脚本にあるというのが、
わたしの基本的な考えなのだが、それでも一応
「サニーちゃん片想い案件」では脚本上、
必要十分の説明がなされてきていたんだろう。
「自分の気持ちに素直になれば、
 怖いことなんて何もない」
とても良いよね。このセリフ。
煎じて飲めば、ふがいないリミたちも多少変わるだろう。

若者サイドのストーリーで、たま~~~に
「おっ、ここは何か良い」って思うのは、
なつめたちの方が、
お姉さんたちよりはまだしも、
心ある人間関係を築けているからかも。

 

 

【まとめ・・・】

『FOLLOWERS』における自分の疑問は
「リミたちが全然ステキじゃないのですが」
という点に集約して良いような気がしてきた。
このドラマのおかしな所を挙げたらキリがない。
各話につきいちいちそれをやっていたら大変だ。
物語も終局に向かいつつある今、ここからは
「カッコ良くないお姉さんたち」という視点で
このドラマを観て行こうと考えている。